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【2024/04/24 00:33 】 |
生物兵器 (―KIMERA―)

2:生物兵器
 朱雀降臨の10数年前。EJIEN中部では西と東を分ける泥沼の戦いが行われていた。西の背後にはEJIEN最大国家河国と大国オシラ皇国が付き、東の後ろには世界最大の国ジャスティアとそれに従うジャス島が付いた。
 近代兵器の顔みせがアーグル戦争なら、この戦いは生体兵器の顔見せであった。どの大国も、「自分たちが中心でしているわけではないしぃ」と、好き勝手。細菌兵器の後遺症は知った為、もっと局部的なスマートな兵器を望んだ。基本的に以前の条約があるし、世界の目もあるのでできるだけ隠しやすい兵器がよい。
 
 西サイドは生臭かった。SFで目にする「キメラ(ネオ・アーミー)」を現実に製作した。普段は人なのだが、指令でリミッターが外れると獣のように変化する怪物だ。
 東サイドは高度だった。超人(ニュー・ヒュームor SPH)の製作である。あくまで人なのだが、どこかに秀でた特殊な人間を作った。
 
 どちらも人や動物の姿をしているので、普段判別付きにくい。被検体は捕虜などを使用するわけではなく、あくまで“志願者”を用いた。しかし志願者といっても公に「キメラになりませんか♪」などと言うわけも無い。騙したのである。
 西同盟国は特に酷い。協力している西国内の貧困層から、中ば拉致のように人を連れ去って実験を繰り返した。捕虜も基本使わないが後半は濫用した。実際のところ、もちろん勝つつもりだったが、「生物兵器」という新しいビッグ・ビジネスの場でジャスティアに遅れを取りたくなかったのだ。
 東は念密な下等生物実験を重ねていたため、出だしは遅れたが(あえてすぐに引いて相手を批判する時間を作るためでもある)少数で強力な生命体を製作した。それでも被験者は多く、失敗も多数ある。そもそも多い・少ないの問題ではないのだが……。
 
 前半はジャスティアの加減もあるが西サイドが圧倒していた。実質、生物兵器の質も良かった。結果として西サイドは実質上の敗北となるのだが、敗因は後半の失速にある。キメラの進歩が無くなり、新たに作られるものの質もどんどんと悪くなっていった(後期キメラ)。前半につくられた物にも情緒的、人格的問題が多発し、命令を聞かないやら同胞殺人を繰り返すやら。問題だらけ。 それに比べて東のSPHは地味ながらも高度な性能を上げていく。最終的にはそれらの開発した兵器で勝負が終わるという意外な結果となった。
 真実を言うと「フロイス博士が移動したので西の発展は遅れた」である。この戦争、独りの天才女性を奪い合う戦いでもあったのだ。
 
 終戦後は兵器製作をやめた……と見せかけて製作は続いた。まだまだ世界には戦場があるので、その需要は尽きなかったのだ。しかし、さすがにSPHは世界の反感を買い、秘密裏にも製作しにくい状況となった(SPHによる存在正当運動の勃発:製作を打ち切る=SPHは非人道的存在だ!=自分たちは新しい形の人類。製誕(彼らの造語)を続けるべき=SPHのSPHによる組織“ニューワールド”誕生)。
 そんな生物兵器の危機を救ったのが「コイングループ」傘下の「ネメシスグループ」である。というより、厄介な仕事をここが引き受けた。利益・技術共有の名目でジャスティアはこれを認めたが、これはこの数年前から起きていた政権交代による成功。実質ジャスティアにそんなに利益は無いのだが、ほとんどが“コイン”幹部や社員なのでどうにもならなかった(それを排除するグチャグチャした政権戦争も四神で必須)。
 落ち延びたキメラ達はそのまま世界のどこかに散った。が、キメラ製作は続いた。キメラはSPHよりも強い批判を集めたので最早生産自体が核兵器製造以上の悪扱いだったのだが、大陸中央部やヨーワン連合で研究は続けられた。といっても国家は関連せず、あくまで独自の形で。その中心となる施設が“No研究所”。番号で表される研究施設で、その資本元は宗教団体「オー=エデン(通称エデン)」とヨーワン薬品制作会社大手「フラスコ」、そして微小国家「アクラメシアン」である。このうちエデンに関しては、表面上“敵対”の立場をとっている。なぜなら彼らは世界の敵、無差別なテロ集団なので身内とは言わない。しかし、その生物兵器格納庫とも言われる集団に大量のキメラを送り込んでいるのは“No研究所”なのである。 ちなみにNo研究所、フラスコの親会社はEJIENの中小企業である「良薬製造」。その良薬製造(薬品会社)はジャスティア下部熱帯部の「ホネット社(兵器開発)」の子会社。そのホネット社はアーグラの「メーデ(名だけ企業)」を大株主としている。そのメーデは「アクアカンパニー」の実質的内部機構(というか幹部グループ)。そのアクアカンパニーはネメシスグループ傘下の一員。ネメシスGPはコインGPの配下組織。と、いうことは……『オー・エデンはコインGPの私兵団体』という可能性と構図が見えてくるわけだ。つまり実質、SPHの製造もキメラもコインGPの“私物”。
 “ニューワールド”は一見して離れているが、ここの先導者(トップ)が魔術協会の上層部という時点でコインGPの下にあるようなものである。
 現在、最大の天才フロイス博士もコインGPの“社員”です。
 
 生物兵器の中でとくに悲惨なのはキメラ。それも逃亡した物やいつの間にかキメラにされたはいいが、自然と野に出てしまった者である。情緒が比較的まともなモノはいい。しかし精神が非常に不安定なモノは辛い。よく分からないが人を殺してしまう……ということが起こりえる。モノによっては自分がキメラだという自覚が薄い物もある(完全変装のため、改造の記憶を作らないようにしたケースなど)。
 さらにキメラはエデンの非行のせいで世界的に“存在悪”とみなされている場合が多く、望まない多くの被害者であるキメラは悲惨な状況にある。
 
 SPHは社会的差別があっても、実際役に立つのでまだまし。
 
 

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【2010/05/25 00:37 】 | COINS 組織/派閥/種族 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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